2021年11月17日

懐かしの金縛り(前半)

えっと、このブログの存在も、忘れていたわけじゃないんですよ ?

でも改めて見てみると、最後の記事から二年以上も開いているって、
ちょっとあんまりですよね。。。

というワケで、メインブログに書くほどでもない、
でもちょっと誰かに報告したい、
そんな出来事を書いてみたいと思います。

あの、初めにお断りしておきますが、
「怖い話」です。

ぼくが経験した怖さを、多くの人と分かち合うことによって
少しでも小さくしようと、ま、そんな了見で発表したいと
思ったのですが、

「お前の怖さのシェアなんかいらんわ ! 」

と思われる方もおられると思います。
というか、それが正常な反応だと思います。

なので、ぼくの経験した怖さを分かち合っても良いぞ、という
心の広い方だけお読みいただければと思います。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、
何の話かと言いますと、タイトルですでにネタバレしていますが

金縛り

の話です。

金縛り自体は皆さん経験されている方も多いと思いますし、
科学的にも「睡眠麻痺」として、霊的なものとは関係ナッシング、と
言われていますが、やっぱり怖いものですよね。

ぼくの金縛りに対するスタンスは、

「怖いけれど霊的なものとは無関係、だろう、であってほしい」

というもので、金縛りにあっても、

「ああ、またか。最近不規則な生活してたからなー」

と、そのまま寝てしまうという程度のものでした。

よしんばお化けが乗っかって怖がらせてやろうとしていたのだとしたら、
本当に乗っかりがいがなかったことでしょう。

そんなぼくがこの間、久し振りに金縛りにあったんです。

まず、その時見ていた夢の内容から説明しますと、
ぼくは豆電球が点いているくらいの暗い部屋にいて、
そこからさらに暗い、真っ暗闇の部屋へと行こうとしていました。

その部屋は真っ暗なので、両手を前に差し出して一歩足を踏み出したんですが、
その途端に、暗闇の中から伸びて来た手に、
がっしと両手をつかまれたんですよ。
どうです、もうこの段階でホラー映画でしょ ! ?

333810_m.jpg


で、手をつかまれた瞬間、その手の主の意図がわかりました。

夢の中のぼくの眉間には、3ミリあるかないかくらいの
小さなイボのようなものがあったのですが、
その手の主は、そのイボを、爪でガリっとえぐり取ろうとしていたんです。
(痛いイタイイタイ ! )

ぼくは、そのイボに傷をつけられると、廃人になってしまう、
取り返しのつかない、とにかく大変なことになってしまう、
ということを知っていたので渾身の力で抵抗しました。

なんとなく、眉間にあるイボは「第三の目」で、
暗闇から伸びて来た手は、ぼくの第三の目を
潰そうとしているのだと感覚的にわかりました。

松果体.jpg

金縛りにあっている時というのは、大抵力が入らないもので、
その時も、腕どころか体全体に力が入らなかったのですが、
謎の存在に大切なイボをガリっとえぐられるのは絶対いやだったので、
それはもう必死に抵抗した挙句、ようやく

「フンガ― ! ! ! 」

とばかり、漆黒の闇から伸びてきた手を振りほどくことが出来、
夢からも醒めました。




いつもなら、

「あー。あーコワカッター。夢で良かったー」

と、また数分で眠ってしまうのですが、
今回はちょっと違ったのです。

怖い夢を見て目を覚ました時によくあると思うのですが、
部屋の暗闇の中に何かが息を潜めてこちらをうかがっている、
そしてヘタに動くと「それ」が飛び掛かってくる、
そんな雰囲気がそれはもう濃厚に、部屋中に漂っていました。

そしてこれが初めての経験だったのですが、ちょっとおかしいな、と
思うくらいに、足が冷えていたのです。

それだけではなく、こんなの初めてなくらい心臓がドキドキして
呼吸もおかしくて、肉体的にもかなりダメージを受けているようでした。


これはちょっと・・・このままにしといたらアカンやつかもしれん


遅ればせながらそう感じたぼくは、出来る限りのことを
しようとしました。


さて、かなり長くなりましたので、何をしたのかは
次回に続くとさせてもらいます。


   つづくー。

posted by 和矢 at 00:04| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月03日

きのう何食べた? 最終回 〜シロさんとケンジ、みんなでパーティーをする〜

どうやら音の正体は、ジルベールとコヒナータの、
お腹の虫の声だったようです。

ふたりとも、おなかがぺこぺこなのでしょう。

その音に気付いたのでしょうか。

ふたりの背中に、ブルーシートの上からケンジが声をかけました。

「ねえねえ、コヒナータさん、ジルベールも!
よかったら、いっしょにクレープ食べません?」

驚いたのはシロさんです!

あわててケンジのところへ行き、ブルーシートの上で
ちょこんと正座をしているケンジに小声で言いました。

「おいっ!お前なに言ってんだ!あんなワケのわかんない連中とメシ食うなんて、
俺はごめんだぞ!」

そう言われて、ケンジはちょっとつまらなさそうに
ほっぺをふくらませて言いました。

「えぇ〜、だってぇ〜、魔法使いだとか、そのナイトだとか、
そんな人たちと話する機会なんて、そうそうないよ〜。
面白そうじゃん!ね、呼んじゃお?ね ? 」

そう言われて、シロさんは、心の中で「あぁ、こりゃダメだ」と
ため息をつきました。

なぜって、ケンジがそういう言い方をするときは、
もう絶対に言うことを聞かないのを知っていましたから。

「わぁ〜、いいのぉ〜?」
「お邪魔では、ありませんか?」

ジルベールもコヒナータも、よっぽどお腹が空いていたのか、
シロさんたちに興味があるのか、なぜか乗り気です。

シロさんとケンジ、それに、ジルベールとコヒナータ、
四人でシートの上に座りこみました。

「ジルベール、コヒナータさん、これ、俺たちが焼いたクレープ、食べて食べて

ケンジはみょうにゴキゲンで、紙皿にクレープを取り分けて
二人の前に差し出します。

「わぁ、ありがとうケンちゃ〜ん」

ケンジとジルベールは、もうすっかり仲良しの友だちのようです。

シロさんは心の中で、

「こいつ、前から人当たりがいいとは思っていたけど、
まさか人外当たりまでいいとはな・・・」

と感心してしまいました。

「ね、これ、つけてみて。きっとおいしいから」

ケンジの差し出したディップをたっぷりとクレープに塗って
頬張ったジルベールは、思わず

「ヤだっ、なにコレ、おいしーい

と大きな声を出します。

なに食べクリスマス.jpg

「ああ、それは明太子とサワークリームを混ぜたディップだよ。
いつもはバケットにつけて食べるんだけど、
クレープにも合うんじゃないかと思って」

シロさんも、自分の料理をほめられたのがうれしくて、
少しばかりジルベールの点数が甘くなったようです。

「うん、合う合う!ヤだコレもう止まんないよぅ〜」
「そう、そんなにおいしいの。よかったね、ワタルくん
「ね、大ちゃんもコレ作ってよ。ウチでもっといっぱい食べたぁい
「うん、じゃあ筧さんに作り方教えてもらうね、
前菜のキャビアの代わりに、ちょうどいいよ」

コヒナータも、ハムにゆで卵、トマトにレタスなどを包んで、
サンドイッチ風にしたクレープをおいしそうに、むしゃむしゃと頬張りながら言います。

「大ちゃんったらね、いつもぼくに美味しいもの食べさせてくれるんだけど、
毎日毎日ごちそうだとあきちゃうんだよねー。
だから、こういう駄菓子っぽい庶民の食べ物、たまーに食べるとホントにおいしいー

やっぱり魔法使いというものは、少し天然なのでしょうか。
ジルベールはニコニコしながら、ずいぶんなことを言い放ちます。

「ワタルくんっ💦」

コヒナータがたしなめましたが、かんじんのジルベールはきょとんとしています。
きっと悪気はないのでしょう。

シロさんも、そろそろジルベールの言葉に反応しなくなってきていました。

さて、たっくさんのクレープをたいらげて、みんな、お腹いっぱい!

ふだんは腹八分目をこころがけているシロさんも、今日ばかりは特別です。

「あー、うまかったなぁー」

ケンジも「もう入らないー」というため息とともに言いました。

「あ、そうだ。あの、よろしかったら、これ」

ありとあらゆるクレープで満腹になっているシロさんの前に、
コヒナータが大きな箱を差し出しました。

なんと、それはさっきジルベールに差し出していた
キルフェボンのケーキではありませんか!

「え。い、いいんですか!?これ、ジルベールのために買って来たんじゃ…」

シロさんは驚いていいました。

「あぁ、いいのいいの。食べたくなったら、また大ちゃんが買ってきてくれるから。
それにぼく、いまはりくろーおじさんのチーズケーキの気分なんだもん」

「うっわぁ〜、うれしい〜。開けていいですか」

ケンジとシロさんは、豪華なケーキの箱をワクワクしながら開けました。

中から出て来たのは・・・
淡いピンクの桃のスライスがたっぷりと敷き詰められたケーキではありませんか!
まあ、なんて見事なケーキでしょう!

桃のタルト.jpg

桃が大好きなケンジは、思わず歓声を上げました。

「わあ〜!桃のタルトだぁ〜ね、シロさん、桃がいっぱいだよ〜ぅ」

「こ、これは…25cmホールタイプで税込価格6,723円の桃のタルト…!
でも、こんな高価なものをいただくのは…」

シロさんがためらうのももっともです。
なんせ、ふたりの月の食費、4分の1の値段なんですからね。

「いえ、われわれはおふたりの心のこもったクレープをたくさんいただきましたから、
せめてものお礼です」

コヒナータは、シロさんの目をじっと見つめ、
ナプキンで口元をぬぐいながら言いました。

「わ、わかりました…。では、どうでしょう。
このケーキは、デザートということで、みんなでいただくというのは」

「あ、いいねー。俺、クレープでお腹いっぱいだけど、
デザートは別腹だから大丈夫〜」

シロさんの提案に、ケンジは一も二もなく飛びつきます。

そうしてシロさんとケンジ、ジルベールとコヒナータは、
クレープでいっぱいになったお腹に、甘くておいしい桃のタルトをつめこんで、
みーんな、とっても幸せな気分になりました。

その中でも、いちばん幸せそうな顔をしていたのは…
じつは甘いものがだーい好きなシロさんだった、ってことは、秘密の事実です。

シロさんクレープ弐.jpg
シロさんクレープ.jpg

おいしいものを作ったら、また遊びに来てもいいと許可をもらったふたりは、
いまでもたまに、東の森に遊びに行っています。

ただ、やっぱり二人の休みがなかなか合わないので、
平日の夜、森で焚火を囲んでシロさんの手料理を食べ、
デザートにコヒナータおすすめの高級なお菓子を食べたりしているそうです。

皆さんが、夜の森で楽しそうな話し声を耳にしたら、
ぜひ耳をすませてみてくださいね。

シロさんとケンジ、ジルベールとコヒナータが、
針ネズミたちに囲まれて、楽しいお食事会を開いているのかもしれませんよ。

きのう何食べた・クロさんイラスト.jpg

            おしまい
posted by 和矢 at 22:22| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月29日

きのう何食べた? Part4 〜シロさんとケンジ、自己紹介をする〜

〜おはなしを読む前に〜

これまでのおはなし

Part 1 シロさんとケンジ、ピクニックに行く
Part 2 シロさんとケンジ、森の魔法使いにからまれる
Part 3 シロさんとケンジ、黒い騎士と会う


騎士は、意外にも、シロさんとケンジにていねいなおじぎをして、言いました。

「わたくし、ジルベール様のナイト、コヒナータと申します。
この度はジルベール様がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございません」

その表情や話し方といったら、さっきまでジルベールに
ぺこぺこしていた時とはうってかわって、キリリとしています。

無口でクールなタイプが好みのシロさんは、そばにケンジがいるにも関わらず、
すこしばかり「カッコイイ…」と思ってしまいました。

「コ、コヒナータ、さん・・・?」

「大ちゃん、じゃなくて?」

「は、大ちゃんというのはその、わたしのファーストネームが大策、
というものですから」

「じゃああの、『ワタルくん』というのも・・・」

「ええ、ジルベール様のファーストネームです」

コヒナータという騎士は、少しばつがわるそうな表情を浮かべて説明しました。

「大策・コヒナータ・・・」

「ワタル・ジルベール・・・」

シロさんとケンジは、思わず「ぷぷっ」と笑ってしまいました。

だって、ふたりの見た目と名前とのギャップが、
あまりにもおかしかったんですもの。

それを聞いたジルベールは、こぶしを握り締めて
どすどすと二人の前にやって来て言いました。

「なに笑ってんのよう!あんたたちにだって名前くらいあるでしょう!?」

「ああ、ごめんごめん。えっと俺は、筧 史朗で、コイツは・・・」

「俺は矢吹賢二、だけど、もうケンちゃん、でいいよ」

ジルベールのことがまったく怖くなくなったふたりは、そろって自己紹介をしました。

「ふぅ〜ん。筧さんに、ケンちゃん?いかにも人間っぽい、フツーな名前ぇ」

そういうジルベールを、コヒナータがたしなめます。

「ワタルくん、そういうこと言うと、角が立つよ。
そんなことよりほら、おふたりに、クレープをお返しして、ね?」

「はぁ〜い」

ジルベール・小日向.jpg

ジルベールは、口をとがらせながらそう言うと、
マントをばさりと大きく広げました。

すると、マントのなかから、たくさんのクレープが飛び出し、
海の中をおよぐクラゲのように、ふわりふわりと宙をまいながら、
またもとどおり、きれいにお皿の上にならびます。

「わーい、シロさん!俺たちのクレープだよぅー!

ケンジは、シロさんと作ったクレープが戻ってきたのがうれしくて、
たたたとシートのところに駆けていきました。

「あれっ?あったかーい!」

クレープを手に取ったケンジは、驚いて声を上げました。

ケンジびっくり.png

それもそのはず、どのクレープも、焼き立てのように
ほっこりとあたたかくなっていたのです。

「ちょ、ちょっと、おわびのしるしに、ね」

ジルベールが口をとがらせたままで、くやしそうにそう言いました。

「そっかぁ、ワタルくん、えらいねぇ〜
魔法であったかくしてあげたんだね〜、やさしいねぇ〜

コヒナータがジルベールに、とろけんばかりの優しい声を出します。

その声を聞いて、シロさんは、さっきコヒナータのことを
カッコイイと思ったことを取り消しました。

ジト目シロさん.jpg

「では、ご迷惑をおかけしました。わたしたちは、これで」

コヒナータは、シロさんにジト目で見られていることに気づき、
キリリとした顔に戻ってそう言うと、ジルベールをうながして
立ち去ろうとしました。

が、そのときです。

「くぅ〜」

と、間の抜けた音が森の中にひびきわたりました。

つづいて、

「ぐぅ〜」

という、今度は低い音が。

「だ、だいちゃんっ、早くいこうよっ💦」

ジルベールがばつが悪そうにコヒナータをせかします。

「そ、そうだね、早く帰って、ケーキを食べよう、ね」

コヒナータも顔を赤くして、馬の方に足早に歩きだしました。



            つづく!
posted by 和矢 at 01:50| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする