2015年09月22日

『悪の教典』ネタバレあり

あの事について無性に書きたいんだけど、
本家のブログのテーマとは関係ないから書けないや、
という事柄について、だらだらと好きなだけ書き散らすには、
こういうブログの存在と言うのは本当に便利なものであります。

今回は、先日読了した『悪の教典』について。

これね、始めは映画版を観たんですよ。

で、「あれ ? これはちょっとすごく面白いんじゃない ? 」
と思って、早速原作を読み始めたんですが、本当に面白い !

ストーリーはというと、高校の英語教師、蓮実聖司、愛称ハスミンが、
自分の邪魔になる存在をどんどん殺しちゃって、
最後にはクラス全員40名を、猟銃で皆殺しにしてしまうというお話です。

まぁこの説明でどんな内容かわかったらすごいと思いますが、
ハスミンというのは、サイコパスなんですね。
他人の感情に共感する能力がすっぽりと欠落しているんです。

だから、それが一番合理的で安全な方法であれば、
ためらわずに殺人だって犯しちゃう。
でも、逮捕されて自由が奪われてしまっては本末転倒なので、
ものすごく緻密な計画を立て、どんどん完全犯罪を成功させてしまう。

確かに怖いし、ヤバいヤツなんですが、なんだかね。
もう突き抜けてて爽快なんですよ。
もちろん実生活でこういう人とは関わりたくないですけどね(笑)

また、大抵の映画は原作よりもつまらなくなってしまうものですが、
この作品に関しては、映画には映画ならではの面白さがしっかりあって、
それもうれしかったです。

それがどこかっていうと、難しいんですが、
「サイコパスと快楽殺人者の違い」が
明確に描かれていたところでしょうか。

これは、映画でハスミンを演じた伊藤英明さんの演技にもよるのでしょうが、
ハスミンは、「うひひひひ、死ね死ね死んでしまえ〜」的な感じではなく、
ホント、床に転がった鉛筆を拾うような感じで人を殺しちゃいます。
これが、快楽殺人者とサイコパスの違い。
サイコパスにとって、殺人は手段であって、目的ではないんですね。

たとえば、あるシーンで、伊藤英明さんが首を傾げて
「ん、ちゃんと死んだかな ? 」
という表情をするんですが、ほんと感情が見えない。
(あの黒目がちな瞳でそういう表情をされると
たまらんですよ !)

あと、至近距離で猟銃を撃つ時に、白いレインコートを羽織って
血しぶきを避けるとか、トイレの鏡で顔についた返り血を拭き取るとか、
そういうシーンがリアルで素敵でした。
こういうのは、視覚に訴える映画の強みですねー。

原作の面白さは、何といっても、サイコパスであるハスミンの心理描写 !

伊藤英明さんの「表情」と同じように、殺人に至る心理も
「今のうちに黙ってもらった方が後腐れがないか」
みたいな感じで、終始淡々としたもの。
居酒屋で
「さっきじゃがバターを頼んじゃったけど、
フライドポテトを食べたくなったから、じゃがバター取り消すか」
みたいな感覚。

そして、最高に素敵だったのは、猟銃片手に夜の校内をうろつきながら
生徒をばんばん撃ち殺しつつ考えていることが

「さすがに何度も階段を昇り降りしてると疲れるなぁ。
喉乾いたなぁ。
やっぱりバナナかなんか、食べ物持ってきた方が良かったかなぁ」

なんですよ !

バナナですよバナナ !

あっ、あと、これはネタバレなんですが、
恐怖のあまり、殺される前に自殺する生徒が登場します。
それを見たハスミンは、

「猟銃で撃たれるのは事故のようなもので仕方ないけれど、
生きる努力を放棄して自ら命を絶つというのは
現代の教育に問題があるような気がする」

と、とても遺憾に感じるわけです。

どうですこの見事なサイコパス理論 ! いや、ハスミン理論かな。

いやぁちょっと久し振りに本を読んで興奮しちゃいましたよ。

今日から、早速、同じ作者の『黒い家』に取り掛かっています。
こちらも、サイコパスものらしいんですが、
どちらかと言うと、よりぼくの恐れるタイプのようなので、
びくびくしてオリマス。








posted by 和矢 at 03:41| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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