2017年12月06日

よいこの毒草入門・7 キョウチクトウ

こんにちは。

早いもので、もう12月。
このブログも、まるまる二か月放置してしまっていました。
ネタはあったんですが、どうしても動画の方に時間を取られてしまってまして。。。

というワケで、今回は久しぶりの「よいこの毒草入門」です。

今回お届けするのは、ちょっと道を歩けば
どこででもお目にかかる事の出来る、キョウチクトウ。

このキョウチクトウ、インド原産のため、
暑くて湿気の多い日本の夏に適しているんですね。
しかも公害や潮風などにも強いため、風よけなどの意味も込め、
公園や道路の脇、中央分離帯や海辺などにもたくさん植えられています。

kyouchikutou3685.jpg

花言葉は「友情」「恵まれた人」そして「油断大敵」などですが、
本当にこの木は油断なりません。

なんせ全体に強心作用を持つオレアンドリンがたんまり含まれているのです。
ちなみに、青酸カリの致死量が150〜300mg/kgなのに対し、
オレアンドリンの致死量は0.30mg/kg、といえば、
そのヤバさ、おわかりいただけるでしょうか。

ちなみに、インドではこの植物は「馬殺し」、
イタリアでは「ロバ殺し」という俗称があるくらいです。

俗称といえば、この木の樹液が目に入ると目が腫れ上がるため、
「目膨木」(ミフクラギ)という俗称が日本にもあるそうです。
本当は、目が腫れ上がるくらいならラッキーで、
失明する恐れも十分にあります。
素手に樹液が付くと皮膚炎になったりもします。

この木の葉を食べた犬が死んだ、という話も結構多いようですし、
日本でも、牧草に混じっていた乾燥した葉を食べ、
牛二十頭が中毒症状を起こし、うち九頭が死亡した、などという事故も
あったそうですし、花が池などに大量に散ると、
魚が死んでしまうとも言われています。

さて、このキョウチクトウの毒性の怖いところは、
「熱で分解されにくい」というところ、
そして何より、公園や学校など、いたるところに生えている、
というか、無防備に植えられているところでしょう。

特に危険なのは葉の部分なのですが、
手で折ったり幹の部分に傷をつけたりするとにじみ出て来る樹液も
充分危険です。
前述のように、それが目に入ると腫れ上がったり、失明の恐れもありますし、
小さな子供が、公園でこの木の枝を折ったりして、
そのまま樹液のついた手でポテチを食べたりするのはこわいですね。

実際、フランスでは、バーベキューの串のかわりに
キョウチクトウの枝を削った物を使ったグループが、
11人中7人まで死亡する、という事故がありました。

これをネタにしたのか、僕は以前、狙った相手にだけ
キョウチクトウの枝を串にしたバーベキューを食べさせ、
他の連中には無害な木の枝で作った串の物を喰わせ、
不幸な事故を装うというトリックの推理小説を読んだことがあります。

あと、キョウチクトウの樹皮を乾燥させた物をカプセルの中にいれて
普段服用しているくすりに混ぜて飲ませる、というものもありましたが、
やはり「不幸な事故」というのが個人的にいいと思います。
たとえばジギタリスなんかでも


・・・失礼しました。どういう症状が出るのかをまだ書いていませんでしたね。
まぁありがちなんですが、神経細胞の興奮、筋肉の収縮、
あと、肝機能が低下することによって起こる下痢、嘔吐、めまい、
そして最悪の場合は心臓マヒ、という感じです。

さらに怖いというか侮れないのは、この木はナマで燃やすと、
その煙にまで毒性がある
のです。

お父さんが
「あー、ウチのキョウチクトウ、伸び過ぎたからちょっと剪定でもするかー」
と思い立ったり、植木職人さんが
団地や公園に生えているキョウチクトウを剪定したりして、
それを充分乾燥させず、生のまま火にくべたりしてしまうと、
その毒性は煙に乗って広がってしまうのです。

そう考えると、キョウチクトウの茂みなんて、
いたるところにあるワケですから、
火事にでもなったりしたらえらいことになりそうですね。
ちなみに僕の通っていた小学校にはキョウチクトウが
山のように植えられていますが、幸い火事になった事もありませんし、
人死にが出たという噂も聞きません。
でもまぁ、あまりにもありふれている植物なだけに、
気をつけるに越した事はないでしょう。

kyochikutou.jpg

よく見かけるキョウチクトウは、赤やピンクですが、
白や黄色のものも美しいですね。
posted by 和矢 at 04:38| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月02日

よいこの毒草入門・6 ジギタリス

さて、約7ヶ月ぶりの、つまりは今年初めての
「よいこの毒草入門」ですが、今回ようやく、

「わしゃあこの草について書きたかったからこのコーナーを始めたんじゃあ ! 」

というくらい好きで好きでたまらないジギタリスの登場です。

ジギタリスといっても、園芸などに興味がない人は
あまり耳にした事がないと思いますが、
写真をご覧いただければおわかりのように、大変美しい花を咲かせます。

ジギタリス.jpg

そのため、苗もよく出回っていますし、種も普通に売られています。
ちなみに、うちのジギタリスは、種から愛情を込めて育てた物で、
もう四年目になりますが、今年も綺麗な花を咲かせてくれました。

ジギタリス種.jpg

このジギタリス、その形から、「キツネの手袋」などと呼ばれています。
キツネがこの花を手袋代わりにしているところを想像すると、
枕を抱いてごろごろ転がり回りたくなるくらい可愛いですね。

さて、ジギタリスの毒性、もとい、薬効ですが、
ジギタリスの葉には、ジギトキシン、ギトキシン、サポニンなどが
含まれています。

製剤としては、ジギタリン、ジギトニン、ジギフォリンなど、
毒性を少なくして効力を弱めた物もあります。
これらは不整脈やうっ血性心不全などの心臓疾患に繁用されています。

とにかくこの植物は、強心剤がたっぷり含まれているため、
ストレートに心臓に作用します。
間違えて葉を干した物を5グラム以上飲んでしまったりすると危険ですので、
絶対に葉を干して粉にした物を5グラム以上飲んだりしないように
気をつけましょう。

とはいえ、どんなに気をつけていても事故というのはあるもので、
このジギタリスの葉、見た目が非常にサラダ菜に似ているのが
やっかいなところです。
新芽をうっかりサラダに混ぜて食べてしまったり、
人に食べさせてしまったりしないようにしていただきたいものです。

本物のサラダ菜にうまく混ぜると、間違えてかなりの量を食べてしまい、
悲しい事故につながりかねません。

さて、少し話がずれますが、ジギタリスの成分を発見したのは、
スコットランド人医師ウイリアム・ウィザーリングなどと
言われていますが、これはとんでもない間違いで、
ウィザーリングは、自分が匙を投げた病人が、
民間療法に長けている田舎の老婆の処方で治った事から、
その老婆から秘伝の薬草療法を聞き出した、というのが本当のところです。
そういうおばあちゃんは、田舎の村にはたいていひとりくらいおり、
頼りにされ、また恐れられてもいました。

でまぁ、そういう民間療法に詳しいおばあちゃんは、
ただそのお母さんから
「ヤケドした時はアロエ貼っときなさい」
「お腹が痛い時はこの草を煎じて飲みなさい」
みたいな事を教わっただけなのですが、
医療の分野を支配しようとしていたキリスト教教会にとっては
目の上のたんこぶだったわけで、
「魔女」としてどんどん焼き殺されちゃう事になるわけですが、
まあこれは別の話。

とにかくこのジギタリス、花が立派で綺麗な上に、
とても丈夫で育てやすいです。
大きな鉢や庭に直植えしたりすると、
優に1メートルは超える大木に育ってくれます。
皆さんも、ぜひ可愛がってあげて下さい。

IMG_2714.JPG
わぁ、いい顔してるぅ(^^♪
ラベル:毒草 園芸 薬効
posted by 和矢 at 00:51| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月30日

よいこの毒草入門・5 彼岸花

こんにちは。

ずいぶんと間が空いてしまいましたが、この世に毒草がある限り
「よいこの毒草入門」は不滅です!

そしてまた、うれしいことに、先日は
「『よいこの毒草入門』が大好きです」
と言ってくださる方にお会いしたり、
昨日は昨日で、
「ニラと間違えて庭に植わっていた○○を食べ、唇がぴりぴりした」
(〇〇については、また改めて書くので、いまのところヒミツ)
などという経験談をお聞きしたりと、これはもう
毒草の神さまに、

なにをしているのです。早く「よいこの毒草入門」を書きなさい。

と背中を押されたような気がしました。

そしていま、ちょうどタイミングよくあちこちで見かける、
美しい毒草のシーズンでもありますからね。

その美しい花というのは・・・

そう、いまのシーズンにピッタリの、彼岸花です。

彼岸花.jpg

ちょっとこの「彼岸花」について調べてみたんですが、
名前がたっくさんありましてね。

それも、

「死人花」「地獄花」「幽霊花」「捨子花」「剃刀花」

などと、よくもまぁこんなに不吉な名前をというくらい
薄気味悪い名前のオンパレードです。

そして、この彼岸花、花全体にリコリンやガラタミンなど
約20種の有毒アルカロイドをもっています。

その毒は特に球根に多く含まれ、毒抜きせずに食すと、
30分以内に激しい下痢や嘔吐に見舞われ、
ひどい場合は呼吸不全や痙攣、中枢神経麻痺といった
深刻な症状を引き起こします。

とはいえ、リコリンの致死量は10g、
球根1gあたりに含まれているリコリンは約0.15mg、
ガラタミンは0.019gと言われていますので、
がっつり食さない限り、重篤な症状に陥る危険は
あまりないと言えるかもしれません。

けれど、百合根などと間違えて、煮物などにしてしまうと
大量に食してしまう可能性もないとは言えませんので、
注意は必要ですね。

で、この彼岸花、畑の脇や、あぜ道、土手、お墓などに
生えていることが多くないですか。

これには理由があって、毒のある彼岸花の球根を植え、
モグラやネズミ除けにしていた名残なんです。
毒草も使いよう、ということですね。

こういう心温まるエピソードを聞くと、
ぼくの毒草愛はいやがうえにもたかまってしまうのです。

HiganW2.JPG

そしてこの彼岸花、赤だけでなく、白い花や黄色い花もあります。

「秋」に咲く、死んだ人を想い起こさせ、「悲しい」気分にさせる
「白い」花、五行で言えば、「金」の象徴のような花ですね。


posted by 和矢 at 01:30| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする