2016年05月19日

よいこの毒草入門・3 スズラン

先月は一度しかこちらのブログを更新していませんでしたが、
5月は、スズランに関する、とてもロマンチックな風習がある事を
忘れていました。

それにちなんで、今回は「よいこの毒草入門・3」
ということで、スズランを取り上げたいと思います。

冒頭に書いた「ロマンチックな風習」ですが、
イギリスやフランスでは、5月1日が
「ミューゼの祭日(スズランの日)」とされており、
この日に恋人や大切な友人にスズランを贈る風習があるそうです。

日本でスズランと言えば北海道、というイメージがありますが、
最近は自生している物も少なく、花屋さんなんかで売られている物は、
ほとんどがドイツスズランだそうです。

で、このスズランですが、大きな緑の葉に隠れるように、
可憐な白い花を咲かせる、もうとっても可愛いお花ですよね。

その様子から、スズランという名前の他に
「君影草」などというロマンチックな別名もありますし、
海外では「聖母の涙」「谷間の姫百合」などとも呼ばれています。
花言葉も「幸福が訪れる」「純潔」など、とってもロマンチックです。

スズラン(君影草.JPG

まあそんな事はこのコーナーではどうでもいいんですが、
この可憐で美しく、聖母の涙とまで呼ばれるスズランには、
コンバラトキシンやコンボラマリンなどが、
全草にたっぷりと含まれています。

これらの成分は、うっ血性心不全に処方される強心剤に含まれている物で、
強心剤に使われるものです。

強心剤に使われる成分というのは、量を間違えれば命取りになるワケで、
もちろんスズランの成分も例外ではありません。

むかつき、悪寒などから始まり、意識混濁、
そして最悪の場合、心臓が痙攣を起こし死に至ります。

これらの成分は前述のように、全体に渡って含まれているのですが、
特に花と果実に多く含まれています。

が、いくら毒性が強いとはいえ、
スズランの花や実を食べる人はいないでしょうから安心ですね。
でも、鉢植えなどはいいとして、スズランを活ける時は気をつけて下さい。

スズランを活けてあった水を飲んで中毒を起こし、
死んでしまったという事故は決して少なくないのです。

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このように、スズランを綺麗なガラスコップに活けるのは、
見た目も涼しげでいいものですが、
その後、その水だけをテーブルの上に放置しておいたり、
冷蔵庫に入れておいたり、氷を浮かべてみたりするのは事故のもとです。

また、先ほど果実などを食べる事はない、と書きましたが、
スズランの果実は、さくらんぼやベリー系の果実と似ています。

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さくらんぼなどの中にさりげなく混ぜておいたりすると、
誤って誰かが食べてしまう危険もありますので、
そういう場所に果実を混入するのは絶対にやめましょうね。
posted by 和矢 at 23:02| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

よいこの毒草入門・2 福寿草

こんにちは。1ヶ月ぶりの「よいこの毒草入門」です。

今回は、冬の花、ということで「福寿草」を
取り上げてみたいと思います。

「福寿草」というと、お正月に床の間に飾ったり、
松や梅と寄せ植えにして玄関に飾ったりするおめでたい花ですね。
「難を転じる」という「南天」とセットで、
「難を転じて福となす」と、縁起ものの飾りにされたりもします。

なんてったって名前からして「福」で「寿」な「草」なんですから、
めでたくないはずがありません。めでたさ炸裂です。

また、田舎の山なんかにも自生しており、
雪の下からひょこっと黄色い花を覗かせる様は、
可憐な美しさとともに、たくましさをも感じさせますね。

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かの小林一茶もその姿を「大雪を かぶつて立や 福寿草」と詠んでいます。

この福寿草、学名というか英語では ADONIS と言います。

ちょっと話がそれますが、アドニスというと、
ギリシア神話に登場する美少年の名前ですね。
キプロスの女王ミュラが、父親と交わり生まれた子供といわれますから、
近親相姦で生まれたことになりますが、
これはまぁ神話の世界ではよくある話です。

でまぁ、美の女神アフロディーテと冥界の女神ペルセフォネーが
アドニスくんを巡って女の闘いを繰り広げたため、
困ったゼウス神が

「んじゃまぁ一年のうち四ヶ月は地上でアフロディーテと、
あとの四ヶ月は冥界でペルセフォネーと、
そんで残りの四ヶ月は自分の好きなトコで過ごしたらよろし」


というわかったようなわからんようなお裁きを申し渡したと言う、
ま、それくらいの美少年だったわけです。

ちなみに彼の最期はイノシシに突き殺され、
その血からアネモネが咲き、
彼の死をいたんだアフロディーテの涙から薔薇が咲いた、
などとも言われています。

という事は、薔薇よりも福寿草の方が起源は古いのか、
という話になりますが、そんなことわかりません。

福寿草.jpg

で、このおめでたい福寿草なんですが、
草の全体に
 
シマリン、シマロール、アドニトキシン(adonitoxin)、
ソマリンの他、コルコロサイドA、コンバラトキシン、
ストロファンチン、リネオロン、イソリネオロン、アドニライド、
ウンベリフェロン、スコポレチン
 

などなど、様々な有毒成分が含まれています。

特に危険なのはアドニトキシンとシマリンで、
これは直接心臓に作用します。

特に根っこに多く含まれているため注意が必要ですが、
普通根っこを間違って食べるということはあまりないでしょう。

ただ、福寿草の始末の悪いところは、
花の前はフキノトウにそっくり、
花が終わった後の葉っぱはヨモギにそっくり
だということです。

福寿草の花は、2月の旧正月頃から咲き始め、
そろそろ花が終わるころです。

山菜を摘みに行って、葉っぱだけになった福寿草の葉を
ヨモギと間違えて、しこたま摘んで来てしまい、
お浸しにして食べたりしたら、どえらいことになります。

どれくらいどえらいことか、参考までに致死量をあげておきますと、
0.7mg/kgといわれています。
つまり42mgあれば体重 60kgの成人が死亡するワケです。

中毒の仕方としては、まず気分が悪くなって嘔吐し、
ついで心不全で死に至る、というパターンです。

また、植え替えなどの作業中に、粒子を大量に吸い込んでしまっただけでも
軽い悪心や嘔吐などの中毒を起こす事もあるそうですから、
お家で栽培している場合、手袋やマスクをするなど、
くれぐれも注意してかかってください。

間違っても、ヨモギ餅ならぬ福寿草餅なんか作ってはいけませんよ〜!
posted by 和矢 at 00:20| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月02日

よいこの毒草入門 その1

いきなりですが、皆さんは毒草は好きですか?

ぼくは大好きです!

なぜ?
と訊かれても困ります。
ただ毒草が好きで、ワクワクするのです。

けれど、当たり前ですが、毒草は危険です。

そして、身近なところに、毒草は素知らぬ顔をして生えています。
名前を聞いたり、写真を見れば、必ず知っていて、
「この植物に毒が!?隣の家に生えてるよ!」
という毒草は、本当にいっぱいあります。
子どもがおままごとに使ったり、間違えて食べたりして
食中毒を起こしたり、最悪の場合、死に至ったりすることもあるのです。
そこで、趣味と実益(どんな益?)を兼ねて、
身近な毒草について書いてみようと思いたちました。
タイトルは、今日の日記のタイトルのまんま、『よいこの毒草入門』です。

たとえば今の季節でしたら、道ばたや公園で、
こんな花を見かけませんか。

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ウチの近所の空地にも咲いていますし、
職場の近所でも2ケ所ほどで咲いています。

この植物、よほど生命力が強いらしく、
前述の近所の空地で咲いているヤツは、
タールで固められた地面の隙間から、
タールを押し退けるようにしてどんどん伸びています。

また、写真のように花も綺麗で、そのうえとても良い香りがするので、
園芸用にも売られています。
ホームセンターや大きめの花屋さんなんかに行けば、
白や紫、オレンジ、ピンクなど、様々な色の苗が売られていたりします。
最近は、品種改良されて八重咲きになったものもあるようです。

この植物、その形状から、「エンジェル・トランペット」
と呼ばれています。

また、これと似た花で、上向きに咲く種類もあり、
そちらは「チョウセンアサガオ」「ダチュラ」「キチガイナスビ」
などとも言われます。
前者はともかく、最後のは放送出来ませんね。

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でも「アサガオ」とは言うものの、れっきとしたナス科の植物なので、
本当は後者の方が正しいのです。

エンジェル・トランペットも、キダチチョウセンアサガオ属
ですので、血のつながりの濃い親戚関係ですね。

で、この植物は、全体にヒオスチアミンと
アトロピンという猛毒を含んでいます。

また、花が咲き終わると、写真のような、とげとげのついた実がなり、
それがはじけて中から大きなゴマのような種が飛び出します。

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この種には、ぜんそくの発作を抑える薬や、
鎮静剤にも使われるスコポラミンが含まれていますが、
それも猛毒で、下手に種を数粒飲んでしまったりすると、
大変な事になります。

どう大変かというと、「キチガイナスビ」という名の通り、
幻覚を見たり、せん妄状態になったりするのです。

もちろん量によっては死に至ります。

葉を煎じて飲んでも、同じような効果があるらしいのですが、
その幻覚は決してドラッグのようなものではなく、
ただひたすらワケのわからないもののようです。
ただ、ドラッグとしてのダチュラを
絶賛しているサイトもありました。
とはいえ、それはもちろん法律違反ですし、
なによりどのような反応が出るかは人それぞれ。
まぁやめておいた方が無難でしょう。

おなじくナス科の「ハシリドコロ」は
別名「おめきぐさ」「おにみるくさ」などと言われますが、
これは、鬼を見るような幻覚を見て「おめく(方言で「わめく」の意)」
からだと言われています。
そこからしても、あまり楽しい幻覚が見れるワケではないようですし、
数日間もの間、意識というか、記憶がない、という事もあるようで、
ドラッグとして使用してみようなどとは考えない方がいいですね。

ただ、つぼみがオクラとそっくりなせいか、
よく誤食して中毒を起こす人がいます。
残念なことですが、亡くなる方もおられるようです。

丈夫な植物ですので、街中でも良く育ち、
立派なオクラのようなつぼみをぶら下げていますが、
間違えても、持って帰って
炒めて食べて見たりしないようにしてくださいね!
ラベル:小説 毒草 園芸
posted by 和矢 at 00:37| Comment(0) | 園芸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする